多くの企業が「炎上リスク」をかかえている

昨年多発したソーシャルメディア上の炎上事件をうけて、特にBtoCの企業から「従業員に対する炎上防止策について知りたい」というご要望が増えてきました。

企業担当者にヒアリングしたところ、「従業員がFacebookやTwitterを利用していることはなんとなく知っているけど、どういう使い方をしているのかはわからない。」「炎上が起こってもどう対応すればいいのかまったく想像もつかず、漠然とした不安を抱えている。」といった回答がほとんどでした。

こちらのグラフはマイナビによる「人事・採用担当者への新入社員ソーシャルメディア利用対策状況調査」の結果です。
新入社員にソーシャルメディア研修を「実施していない」、あるいは「ほとんど実施していない」企業が全体の半数にのぼります。

2013年12月「人事・採用担当者への新入社員ソーシャルメディア利用対策状況調査」マイナビ

2013年12月「人事・採用担当者への新入社員ソーシャルメディア利用対策状況調査」マイナビ

これまでブープランは、企業やお店がソーシャルメディアを活発に利用していただくために目的に適した活用方法や「プライバシー設定」の重要性をご紹介してきました。

しかし、いざ炎上事件が起きてしまった時に誰が何をするべきなのか?
また、炎上を回避するためのリスク対策として、日頃から企業はどんなことに取り組んでおくべきなのか?
といったお話をする機会があまりなかったので、今回従業員による炎上を防止するための企業向けの「ソーシャルメディアリスク対策」セミナーを渋谷ヒカリエで開催しました。

ソーシャルメディアの利用を促進するためのルール作り

企業はソーシャルメディアを通じてお客様と直接対話ができるようになりました。
それによって、これまで得ることが難しかったユーザーの生の声を商品開発やサービスの向上に活かしたり、企業に好感を抱くユーザー同士でコミュニティが形成されて、企業が発信する情報が口コミで拡散されたりするようになりました。

特徴を理解した上で適切に活用すれば、ソーシャルメディアは必ず企業の味方になってくれます。
しかし各個人がルールや使い方を知らないままソーシャルメディアを利用していると、会社や従業員を悲しませるような事故を起こしてしまうかもしれません。

私はよくソーシャルメディアの利用を「車の運転」に例えてお話します。
無免許のまま車を運転すると、いつか交通事故を起こしてしまいます。その理由は、交通ルールを知らないから。そして正しい運転の仕方を習っていないからです。

ソーシャルメディアを利用するにあたって、例えば自動車教習所のようなところでルールと使い方を学ぶ機会があれば良いのですが、今のところ各個人が使いながら(小さな失敗をかさねながら)学んでいくしかありません。
自社の従業員も同じです。悪気も警戒心も持ち合わせないままソーシャルメディア上で友達とのコミュニケーションを楽しみます。そしてたまたま誤った使い方をした従業員がうっかり炎上事件を起こしてしまい、従業員はもちろん、その家族や企業も深い傷を負ってしまいます。

2010年「企業社員による不祥事に対する意識調査」by 日本ブランド戦略研究所

2010年「企業社員による不祥事に対する意識調査」by 日本ブランド戦略研究所

それでは、悲しい事故を未然に防ぐために企業が教習所の役目を果たしてみてはいかがでしょうか?
「やってはいけないこと」や「やるべきこと」を従業員が判断できるように会社がルールを策定し、全員が理解できるまでの教育の仕組みを構築すれば、従業員が事故を起こす可能性が低くなるはずです。

 

企業のためのソーシャルメディア炎上リスク対策

企業が「ソーシャルメディア教習所」のような役目を担うために、ブープランが企業にご提案している対応策のながれは次のとおりです。

ソーシャルメディア炎上リスク対策のながれ

ソーシャルメディア炎上リスク対策のながれ

「誓約書」の作成や「モニタリング」の導入については企業によって考え方が異なりますが、炎上を未然に防ぐために上の図のような8つのステップで「リスク対策」を行います。

また、ルールを定めて「ガイドライン」を策定したあと、従業員数が多い会社にとって困難になるのが「継続教育」です。
実際のところ、一度社内で教育を実施しただけでは完全に炎上を回避しきれません。事故を未然に防ぐためにはソーシャルメディアの最適な活用方法を社内文化として全従業員に浸透させるまで繰り返し啓蒙し続けることが重要なのですが、教育を実施するためのスタッフが必要だったり、全従業員に十分な教育が行き届いているかどうかを確認したりする作業に時間とコストがかかりがちです。

そのような企業には「eラーニング」の導入を推奨しています。

継続教育のための「eラーニング」のながれ

継続教育のための「eラーニング」のながれ

継続教育を実施し、炎上時のマニュアルを策定する

「eラーニング」導入後は全従業員にはIDとパスワードが配布され、各従業員に適したソーシャルメディア活用についてのガイドラインをスマートフォンやPCから受講することができます。受講結果はリアルタイムでデータセンターに保存されるため、各従業員の受講の有無や理解度を本社で把握し、指導することが可能になります。

指導するための人員を確保したり、受講のために時間を費やしたり、受講結果を確認するために手間をかけたりすることなく、スムーズに継続的な教育を行うには「eラーニング」がおすすめです。

また万が一炎上が起きた場合に備えて「炎上対策マニュアル」を策定しておくことも重要です。
ソーシャルメディア上の炎上がいつ起こるのかは予期できません。地震や火事に遭った時のためにマニュアルを用意して訓練を実施しておくように、関係者が事前に「炎上対策マニュアル」を確認し、いざという時のためにシミュレーションしておけば大きな炎上事件に発展する前に消火することができます。

ソーシャルメディアの利用者が年々増え続けている今、どこで炎上事件が起きてもおかしくはなく、すべての企業が炎上リスクを抱えている状態です。
今回セミナーでご紹介した「ソーシャルメディアのリスク対策」はほんの一例ですが、従業員や家族が傷ついてしまう前に、そして企業が築き上げてきたお客様との信頼関係を失ってしまわないように、対策のための一歩踏み出していただくきっかけになれば嬉しく思います。