この1年間チェックしてきたIT関連ニュースの中で、2016年も引き続き動向が気になるサービスやキーワードをピックアップして書き留めました。

 

1.フィンテック

スマホやビッグデータ解析を活用した金融サービス、フィンテック(Fintech)が躍進しています。

携帯端末を利用したクレジットカード決済サービスを提供しているSquareが2015年に上場し、先行してサービスを展開していたPayPalも再上場を果たしました。
アメリカではすでにFacebookメッセンジャーSnapchatを通して個人間送金ができるようになっていて、AppleやGoogleも負けじとApple PayGoogle Walletによるオンライン決済のシェア獲得に力を入れています。

2015年の米国内におけるモバイル経由の決済処理金額はなんと100兆円。決済額は毎年2倍以上のペースで伸びつつあるのだとか。
少し遅れをとりつつ日本の金融機関も、三井住友銀行とGMOペイメントゲートウェイが資本提携したり、東京三菱UFJ銀行がベンチャー企業と提携したりとフィンテックに注力する動きがみられます。

もともと親和性の高い金融とIT。技術のめざましい発展によって、この世からお札や硬貨が消える日は意外と近いかもしれません。

 

2.ドローン

以前首相官邸に無人機が落下した事件でネガティブな注目を浴びてしまったドローンですが、実用性の高いツールとして普及が期待されます。

スマホで注文した商品が新型ドローンによって自宅のドアの前まで空輸される米Amazonのドキュメンタリー動画は、近い将来ドローンが身近なものになることを予感させました。様々な法規制や技術的な問題をクリアしなければならないとしても、たった数冊の本を届けるのであれば、人が車を運転して運ぶよりもドローンを飛ばす方がずっと効率がよく、地球にも優しいはずです。

商品の宅配に限らず、過疎地や道路が整備されていないエリアに生活必需品や医薬品を容易に届けられるようになることで、特に災害時などにドローンの活躍が期待できそうです。
またFacebookは、インターネットが繋がらないアフリカの上空に太陽光を動力源にした巨大ドローンを飛ばしてネット回線を提供しようとしています。通信環境が整うことで遠隔地でも仕事に就ける人や教育を受けることができる子供が増えるかもしれません。

使い方によっては人を傷つけてしまう可能性のあるドローンですが、私たちの生活をより豊かにしてくれる新しいツールとして注目しています。

 

3.Apple Watch

スティーブ・ジョブスが亡くなった2011年以来、初めてリリースされるアップルの新プロダクトとしてApple Watchに注目していました。

ようやく発売されたApple Watchですが、もともと腕時計をつける習慣がなかったのと、機能的にiPhoneで事足りてしまうため、どうも必要性を感じられず買い控えたままです。
ただし手で握って操作しなければならないiPhoneは、いつかウェアラブルデバイスに取って代わるであろうという予感はぬぐいきれません。そして常時身体に装着することができるデバイスであれば、ヘルスケアや災害時の安否確認にも活かすこともできそうです。
それがApple Watchのような腕時計なのか、メガネ型なのか、はたまた直接眼球に装着するコンタクトレンズのようなものなのか…?

アップル初のウェアラブルデバイス、Apple Watchの進化に期待しています。

 

4.SpaceX

ロケットの再利用が可能になることで、宇宙旅行の実現が早まりそうです。

テスラのイーロン・マスクが率いる宇宙開発企業SpaceXのロケットが、軌道に到達したあとはじめて地上への着陸に成功しました。こちらの動画で炎と煙をあげながらゆっくりと垂直に着陸するロケット「Falcon 9」の勇姿を見ることができます。

SpaceXはこれまで3回の実験を試み失敗を繰り返してきましたが、2015年12月に衛星11機を低周回軌道まで運び、衛星を搭載した第2段ロケットを軌道上で切り離したあと地球に帰還して無事に地上に着陸することに成功しました。

ロケットを再利用することによって、これまでNASAが費やしていた宇宙開発事業にかかる費用を大幅に削減することができるそうです。

 

5.Amazonプライムサービス

どのオンラインサービスよりも、期待を超えるサービスを提供してくれたのがAmazonです。

年間3,900円を支払えば本1冊でも送料無料で翌日届けてくれるAmazonプライムには十分満足していましたが、2015年後半から追加料金を支払うことなく、さらに充実したサービスを受けられるようになりました。
Amazonが有料会員向けに次々と提供しはじめた主なプライムサービスは次の3つです。

  • Prime Video:映画やドラマを無料視聴
  • Prime Music:100万曲以上の音楽を無料で聴き放題
  • Prime Now:配送料890円で注文した商品が1時間以内に届く(地域限定)

休日に見たい映画も仕事中に聴きたい音楽も、事実上無料でダウンロードできるようになりました。他社を寄せつけない圧倒的な優良サービスの提供によって、Amazonのプライムサービス登録者は2015年のクリスマスの週だけで300万人増加したそうです。

ショッピングの傾向だけでなく、映画や音楽の好みまでファイリングされることによって、ますますAmazonから的確に商品やサービスを提案されそうです^^;

 

6.Pepper

ソフトバンクがパーソナルロボットPepperを発表した時、ついに未来が来た!と誰もが感じたのではないでしょうか。

2015年には一般家庭向けにPepperの販売が開始され、ロボットのいる日常が現実となりました。
Pepperは音声や画像認識技術によって人間を区別しながら会話ができるだけでなく、人の感情まで認識することができます。しかしこのロボット技術は十数年前にすでに実現されていて、決して新しいものではないようです。

Pepperの素晴らしいところは、アプリケーションを介してクラウド上のサービスを利用できること。そのサービス利用料によって製造・開発費用を回収するというビジネスモデルを確立できたことから、デバイスとなるロボット本体の価格を20万円程度にまで下げ、一般家庭でも導入できるようになりました。

一家に一台ロボットがいることはもちろん、鉄腕アトムやドラえもんがやってくる日もそう遠くないかもしれません。

 

7.シェアリング・エコノミー

AirbnbUberなど、インターネット上でモノを貸し借りできるマッチングサービスが増えつつあります。

個人が保有している部屋や車、スキルなどを他人に貸し出し、シェアすることによって成り立つ経済の仕組みを「シェアリング・エコノミー」と呼んでいます。面識のない人同士のモノの貸し借りを成立させるためには互いの信頼を担保する必要があり、そのためにFacebookなどの既存のソーシャルメディアによる評価が活用されてきました。

シェアリング・エコノミーが世界中に普及しつつある今、今度はオンライン上のアクティビティからユーザーの信頼度をスコア化するTrustCloudなどのサービスが登場しました。相手が本当に実在するかどうか、ソーシャルメディア上でどのくらい活発なのか、他のユーザーからどのように評価されているかが点数で表示されます。

PwCによると、2013年に約150億ドルだったシェアリング・エコノミーの市場規模が、2025年には約3,350億ドル規模に成長する見込みだそう。
日本では利用者の安全を確保するための法整備が急がれていますが、シェアリング・エコノミーがさらに普及した社会で快適な生活を送るためには、まずはふだんからの信用蓄積が欠かせなさそうです。

 


 

年々テクノロジーが進化して私たちの生活がどんどん便利で豊かになりつつも、その使い方によっては自分たちの首をしめることになりかねないな。と、記事をまとめながら思いました。

2016年もITが世のため、人のために役立つものでありますように。